AIWA CS-W7 について(3)

 またAIWA CS-W7 である。前回は状態が悪いこともあり断続的ではあったが5ヶ月以上格闘していてそれでもまだ完全ではない。なのにまた不遇と思われる個体に出会うと大した知識や技量もないのに何とかしてあげたい!と思ってしまう。同じものに執着する心理はどう説明されるのだろう?カミさんが社会人になってから大学で心理学を聴講していたので尋ねてみるがわからないとのこと。おかげで我が家は同一機種が数台〜十数台並んでいるのも珍しくない。非常に困ったことだと思う。

 今回入手したのも状態は良くない。コンパクトカセット、マイクロカセット共に不動なのは当然だが一番の問題点は外装に欠品があることでそのおかげで完全な回復は望めない。メカニズムと電気系統を何とかできたら「その2」と合体することも検討します。

 早速開けてみる。この辺りは過去の経験で比較的スムーズに進む。

 まずコンパクトカセットから。ゴムベルトは3本だがいずれも溶解して金属に頑固にこびりついている。IPAに浸しながら丁寧に除去していくが床に落ちて踏んだりすると汚れがなかなか取りにくい。

 平ベルトも含めて手持ちのストックで対応できた。

 カセットのハブ軸が外れている。幸いパーツは揃っていたので再度組み立て。この巻き上げ軸の動きで回転の有無を検出しオートストップ機構を巧みにコントロールしている。この優れたアイディアはスタンダードなのだろうか?ただ機械的なカラクリは修復するのがなかなか大変。

 最初はうまく動かなかったがスプリングなど細かな調整をしてコンパクトカセットのメカニズムは動作するようになった。

 マイクロカセット部も3本のベルトはコンパクトカセットと同じ状態で溶けてへばりついたり周囲に散らばったりしている。

 IPAで柔らかくして除去するが時間がかかる。そしてやはり持病のピニオンギアにひび割れがあり既にプーリーが抜け落ちていた。今まではフリーハンドで削り出していたのだが今回は接着して経過を見ようと思います。

 こちらはコンパクトカセット部と異なりハブ軸の回転の有無は磁気的に検知している。各部を清掃、注油し、ベルト交換して組んでみるとpauseボタンのロックが効かず調べると1ヶ所小さなスプリングの引っ掛けが外れていてまた分解だ!。現実はこんな作業の繰り返し。

 再度組み直して音出しするとコンパクトカセット、マイクロカセット共に動作するが低域が出過ぎで歪む、右chが発振している、EQは各々独立していて両者一緒に再生ができる。ラジオの音質は普通なので2つのカセット部共通のバッファアンプに問題ありと見当をつけたが外部から信号を入力すると問題なくこれは外れた。

 絡んだスパゲッティのようなワイヤーハーネス(?)にはなるべく手をつけたくない。下手に動かして位置が変わると筐体に収める時に苦労する。前回悪戦苦闘したコンパクトカセットの内部は特に問題なければなるべく開けない方が無難。この製品の良いところはメカニズムとほぼ全ての基板が筐体から完全に独立した状態で作業できることで写真のような一塊の状態から各部へのアクセスがし易いこと。カメラや時計の修理のような特別な技能は必要とせず時間をかければ素人でも何とかなる(まだ治ってないけど)。

 欠品のマイクロカセットのリッドを「その2」から移植してひとまず組み立てた。

 これでコンパクト、マイクロカセット、ラジオ、外部入力などは機能するようになった。その2は長い間取り組んだ個体だったがあっさりとドナーになってしまった。そのほかでも若干気になる部分や移植したいパーツがあるが一旦一区切りにしようと思います。

 

 

お読みいただきありがとうございました。